節税と内部留保

節税って何?

いかに税金を少なくするか・・ですよね。
ただし、その節税が正しいのかどうかは別問題。
法律の問題ではなく、考え方の問題です。

「払う税金が少なければそれでいいじゃない」・・単純にそう考えた社長さん、

あなたの会社は間違いなく長続きしません。

なぜでしょう?

一定の利益に対して支払う税金は、特別な税額控除でも受けないかぎり支払

う税金は同じ金額。

節税はおおむねその前段階で行います。

だいたいが経費の計上ですね。


例えば、3月決算の法人が3月になってすごく利益(400万円)が出ることが

わかったとします。(素人みたいな文章で恐縮です)

ここでできる節税方法を考えてみましょう。

@400万円分、パーッと飲みに行く

A400万円の高級車(って、言わないか)を購入

B掛け捨ての120万円の高額な生命保険(年払い)に入る

C月払いの家賃を年払いに切り替える(月額10万円、年額120万円)

D何もしない

@に関しては最悪のパターンですね。

・・体壊しそうですし。

Aは購入時の諸費用は経費になるけれど、減価償却費は1か月分の計上に

なり支出額のわりに当期の節税には効果が薄いかもしれません。

そもそも高級車が本当に必要なのかどうかが一番の問題。

Bは節税効果があることについてはよく知られているところですが、これも本当

に必要なのかどうかが問題。利益が出なくても来年以降も支払わなければなり

ません。

Cは有効な節税になると思います。

契約書などの変更も必要ですが、どうせ翌期も負担する家賃ですから当期に

負担しておくのは無駄にはならないと思いますし、税法も短期前払費用を認め

ていますから。

Dこれはこれでいいと思います。

無駄なことに使うくらいなら、何もしないほうがまし。

このコラムは節税の方法を伝授する意味で書いている訳ではありません。

「使ってしまうとなくなってしまう」・・これがポイント。

最初に書きました400万円の利益・・単に税金が計算しやすいのでこの金額

にしましたが・・

これに対する法人税は約26%+7万円・・つまり何もしなければ111万円の

税金です。

ところがですよ、逆に考えると289万円のキャッシュが合法的に手許に残りま

す。

これがDの場合です。

最初の例に戻りますと、@は支出した交際費の全額が費用として認められま

せんから、利益の400万円はなくなるは、尚且つ税金も出てくるは・・みたいな。

Aは、支出額の全額が費用になりませんので、利益が出てそれにかかる税

金分だけキャッシュはマイナスになるし・・

Bは利益が280万円、そこから支払う税金は79.8万円、手許に残るキャッシ

ュは200.2万円。

先に書いたように、もともと保険に加入するの必要があるのかどうかが重要。

しかも毎年支払わなければならないもの。

何もいい思いをしないのに、何もしないより手許に残る金額が88万円減りま

す。

CはBと同じ税額になりますが、来期の経費が当期で計上できる。

同じ税額でも、それ以後の効果としては雲泥の差があると私は考えます。

事業に必要なものがあれば先に購入しておくのもいいでしょうが、目的が「税

金を少なくするため」と考えてしまうと、購入するものも自然と変わってくるもの

です。

しかも、購入してみたものの経費にならなかった、というのでは本末転倒です。


もうひとつ考えてほしいこと。

例え家賃を1年分先払いして当期に経費を計上しても、それは1回限りのこと。

来期また先払いしても、来期は1年分の家賃しか計上されないということ。

これは貸倒引当金なども同様で、今年繰り入れた貸倒引当金(経費)は、来

年は戻し入れ(収入)しなければならないので、基本的には最初の年にしか効

果はありません。

基本的に経費というのは支出が伴うものだということを忘れてはいけません。

そうすると、結果として手許に残るキャッシュは少なくなります。

当たり前だけれど、「税金を払いたくない」という考えから出発した行動は、ろ

くな結果に結びつかないように思えます。

 

次に考えていただきたいのが内部留保。

例えば10万円しか持っていない法人と、先ほどの例であげた289万円(税引

き後の金額)持っている会社ではできることも考えることも違ってきます。


前者は従前の業務を続けることが精一杯で、当期の業績が悪ければ最悪会

社がなくなってしまうことも考えられます。

一方後者は、手許に残ったキャッシュで新たな展開を描くことができます。

こういう状況が5年続いたら、あるいは利益が400万円でなくて1000万円だ

ったら、前者と後者の会社ではわずか数年で大きな開きとなるでしょう。

結局、利益の出せない会社、税金の払えない会社は淘汰されていきます。

節税も結構ですが、最大限手許にキャッシュを残せるような会社が結局生き

残っていくことになります。

特例等を使って最低限本当に必要なものの購入にとどめておくのがいいかも

しれません。

 

節税の意識も過度に働くと経営に対する目が曇ってしまうものです。

近いものしか見えなくなる。

本当の節税は「税金をいかに安くするか」ではなく「より多く手元にキ

ャッシュを残す」ことではないかと思います。

以上、今回の結論でした。

 

08年9月23日  (10年3月18日加筆訂正)